| 石油工学研究チームでは、油層から掘削、生産分野に至る石油ガス開発エンジニアリングを担当しています。
平成16年度は、基盤(経常)研究として、油層分野では「IOR/EOR技術」及び「コア・流体分析技術」、掘削分野では「油ガス田開発に係わる掘削コスト削減技術」、更に生産分野では「生産効率向上の研究」及び「石油・天然ガス開発に係わる腐食防食の研究」の各テーマの下、研究開発を実施しています。
また産油国との共同研究としてメキシコPEMEX E&Pと「チコンテペック堆積盆アグアフリア、コアペチャカ、タヒン地域の開発計画の最適化」に関する共同研究を平成13年度より進めています。
加えて提案公募(石油・天然ガス開発・利用促進型)大型研究として4件、特別研究として1件の研究開発を実施しています。
また本研究チームでは、石油工学系の分析・実験室を統括し、これらの研究実施の上での実験研究を担当するとともに、他研究/プロジェクトチームや外部からの分析・実験研究が必要とされる場合、随時対応する体制を整えています。
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研究概要
1. 基盤(経常)研究 |
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| (1) IOR/EOR技術(油層分野) |
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| @ ガス攻法に関する基礎研究
増進回収法(EOR)手法の中でも最も有望な手法の一つであるガス攻法について、実験環境を整備するとともに、実験を中心とする研究を進めています。
特にガス攻法についての回収率評価/挙動解析研究は継続して実施するとともに、操業上の大きな問題となる可能性がある油層内でのアスファルテン析出について、その評価手法の確立を目指して研究開発を進めています。
平成16〜17年度にかけては炭酸塩岩油層コアを対象とした高圧下随伴ガス圧入について回収挙動を評価するとともに、アスファルテン性状分析や多孔質媒体内でのアスファルテン析出挙動解明のための実験手法について研究開発を進めています。
A 空気圧入法に関する基礎研究
平成12年度から軽質原油に対する空気圧入法のEOR効果に関する研究をカルガリー大学の実験施設を利用して実施しています。平成14〜15年度にかけて国内油田の原油サンプルを対象に、酸化/燃焼反応に係る基礎実験(ARC実験、TG/PDSC実験)及び燃焼管実験
(Combustion Tube Test)を実施し、その適用及び、水攻法後の油田状態でも増油が期待できることを確認しました。
平成15年度以降は、これら実験による評価に加えて、数値シミュレーションモデルを用いた評価として、燃焼管試験の結果をマッチングし、燃焼パラメーターをチューニングした油層シミュレーションスタディーを実施しています。
今後は、将来のフィールドテスト適用を視野に入れたスタディーに発展させるとともに、フィールドテストの可能性を検討する予定です。
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| 本研究開発の目的は、総合的コア・流体分析システムの整備・確立、新たな技術のコア分析への応用及びこれらの技術を用いたスタディの実施です。分析システムの整備・確立の観点から、平成15年度には、油層状態定常流相対浸透率測定装置、X線CTスキャナー(Aquilion)を新規導入しました。これらの装置については導入後の調整を経て、分析研究に適用されつつあります。
新たな技術のコア分析への応用としては、MRI(核磁気共鳴)技術のコア分析適用について、カナダARCとの共同研究・技術移転を進めており、これまでの研究を通じて、コアの静的特性把握のための装置・測定手法上の知見が得られるとともに、濡れ特性(及びその分布)のための手法を確立しつつあります。
尚、TRCの有するコア分析技術は、実際に操業している油田の評価にも適用され成果をあげています。
これまでにイラン・アザデガン油田を対象とした特殊コア分析及び流体分析、UAEムバラス油田を対象とした特殊コア分析等を実施しています。
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油層状態定常流法相対浸透率測定装置 |
X線CTスキャナ(Aquillion) |
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| (3) 油ガス田開発における掘削作業最適化に関する研究(掘削分野)
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石油天然ガスの探鉱・開発作業における坑井の掘削コストはプロジェクトに与えるインパクトが大きく、一層のコスト削減と坑井の生産性向上に関する技術開発が強く求められています。この点に鑑み、本基盤研究では「大偏距掘削技術研究」「カッティングストランスポートに関する研究」及び「坑壁不安定性改善研究」の3つのテーマに的を絞り研究を進めています。
ここではTRCがこれまで蓄積してきた掘削・仕上げに関わる各種ツールスを整備しつつ、わが国の石油開発企業、基礎試錐、産油国などが抱える技術課題に随時対応するため最新の掘削技術をフォローし、その適用を可能とするよう努めています。
このように、本研究はTRCにおける技術ノウハウを蓄積するみならず、操業支援にも貢献しています。
@大偏距掘削技術(ERD)の研究
実際の油ガス田への適用を念頭に、各種ケーススタディーを実施してきました。 H16年度は、評価井のない油ガス田に対し、ERDを適用する際のリスク洗い出し、評価井掘削時の課題抽出、開発計画原案の立案に係るフィージビリティースタディーを実施しました。また、評価井データが得られているフィールドを対象に、ERD適用の妥当性検討を含むより具体的な開発計画原案を策定するためのスタディーを実施しました。
平成17年度は、技術的にチャレンジングな超大偏距掘削(Ultra-ERD)を対象として、引き続きケーススタディーを実施しています。
Aカッティングストランスポートに関する研究
ホールクリーニングは、大偏距掘削等では特に重要な課題となります。
当研究チームでは、柏崎テストフィールドにおける実験装置(CTFLS)を用いた実験から得られたデータ解析を通じて、カッティングストランスポートのモデルを作成し、これを組み込んだ数値シミュレーターを開発するとともに、実際の坑井データを使った検証を含めた研究開発を東京大学との共同で実施しています。
B坑壁不安定性改善研究
本研究は、坑跡設計や泥水計画立案に岩石力学の観点から検討を加え、坑壁不安定性による掘削障害の低減を究極の目的としています。
既に平成11〜15年度にかけて実施した研究成果は、このケーススタディーの対象となった上部ザクム油田に対して、実際の掘削ガイドラインに組み込まれており、これにより実際の坑井掘削を通じて、スタディー結果の検証、これに関連する追加数値解析シミュレーションが実施されています。
またこれまでの研究成果を広く普及させるためのマニュアル化を進めるとともに、操業現場を支援するためのコンサルティングも実施し成果をあげています。
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| 生産分野の2つの基盤研究は、原油・天然ガスの効率的な生産を行うための基礎技術について研究し、我が国石油開発企業等の探鉱・開発に不可欠な共通基盤的技術・ノウハウの蓄積と、油・ガス田の操業における技術課題克服力の強化を目的としています。
本研究は、原油・天然ガスの効率的な生産を行うための基盤技術として、昭和59年度より継続的に実施している研究で、これまで人工採油法、高流動点原油の流動特性、管内の多相流体挙動ほかについて取り組んでいます。
この一環として技術センターが独自に開発した気液二相流体の挙動予測モデルを改良するために、技術センターが所有する柏崎テストフィールドの多相流実験設備を利用して、経常的に実験を実施しています。 |
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| 平成15年度からは、早稲田大学と共同で、管内の油水二相流体挙動モデリングに関する研究を開始し、平成16年度からは柏崎テストフィールドの多相流実験設備で、管内の水・油二相流体挙動の解析を進めています。 |
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| またフローアシュアランス技術確立の一環として、管内のパラフィン析出に関する研究コンソーシアムに参加し、実験及びモデル開発を通じて、多相流動条件下におけるパラフィンの析出挙動を解析しています。 |
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JOGMEC柏崎テストフィールド
多相流実験設備 |
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| (5) 油ガス田開発及び生産における腐食・防食の研究(生産分野) |
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本研究は、腐食を機構面並びに防食面から、更には補修面から研究し、「操業支援・基盤技術」である腐食・
防食技術の確立を図ることを目的として平成11年度から継続的に研究しています。
また、操業会社との対話を通じてニーズを収集し、それに対応した情報収集(国際コンソーシアム参加、委託調査等)
を行い技術研究開発の方針策定並びに操業会社へのコンサルティング力を強化することを目指しています。
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 Dynamic Field Tester (DFT) |
| これまで産油国との共同研究として、アブダビ国営石油会社ADNOCと行っている耐腐食性チュービング材料選定に関するプロジェクト「DFT実証試験」を実施し、産油国からの高い評価を得て成功を収めています。 |
| 現在は、石油開発会社、パイプライン操業会社のニーズを元に、パイプライン管理技術
(コーティング等) 、また3%Cr鋼等の油井管材料の調査・情報収集を進めるとともに、TRCと新日本製鐵(株)が共同で開発した油井管材料選定プログラム「J-Tube
Mate」を使用し、材料選定スタディーを実施しています。同プログラムについて酢酸環境下のpHの影響についての改良作業を開始しています。 |
 J-Tube Mate 画面 |
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基盤研究のテーマではありませんが、技術センターでは海洋石油開発システムについて、効率的かつ経済的な開発システムとして大水深に存在する中小規模油田の開発コンセプト構築のため、特別研究「大水深海洋石油開発技術」(平成7〜12年度)にて開発した大水深開発システム評価プログラムDeepToolの保守研究(DeepToolフォーラム)へ平成14年度より参加しています。 |
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| この研究は、JOGMEC他10社の参加を以て開始しましたが、平成14年度からはコスモ石油が参加し、現在11社が参加しているものです。 |
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DeepTool
画面 |
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2. 国際研究協力業務 |
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(1) メキシコPEMEXとの共同スタディ |
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平成10年11月に、当時の石油公団とメキシコ国営石油会社PEMEX E&P(以下、PEP)との間で締結された技術協力包括協定書に基づき、平成13年8月までの間、技術センターはPEPと共同研究を実施しました。
平成15年6月に共同研究のフェーズ2を進めるべく、包括協定を延長し、共同研究プロジェクト「チコンテペック堆積盆アグアフリア、コアペチャカ、タヒン地域の開発計画の最適化」を実施することとなり、平成15年10月に技術協力包括協定の延長および共同研究プロジェクトの個別協定書の調印を行いました。
本共同研究は、メキシコ チコンテペック堆積盆地の低生産性タービダイト砂岩層を研究対象とし、3D震探インバージョンおよびコヒーレンシー解析から得られる情報やダイアジェネシス情報を基に地球推計学手法を用いて、生産挙動予測のための油層モデルを構築するとともに開発有望地域を抽出し、開発計画を策定するものです。
本共同研究の実施期間は27ヶ月間ですが、平成16年度は以下を実施し、フェーズ1よりも一層多くの情報を統合した新規地質モデルの構築を中心に研究を進めています。
@震探データのホライゾン解釈、T-D変換再評価、インバージョン 再評価
A地球推計学手法の検討:震探データを地質モデルへ取り込むため、震探アトリビュートから油層パラメータに変換する方法についての検討
Bダイアジェネシスを取り込む手法の確定
Cスイートスポットの評価手法の確立
D絶対浸透率アップスケーリング手法の完成。水攻法パイロット デザイン用セクターモデルのアップスケーリング実施
E水攻法パイロットテスト実施に関連して、油層シミュレーション追加実施
F炭酸ガスEORを開発シナリオの1つとした、事前スタディ計画書 作成
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3.大型研究提案公募事業 |
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当チームでは、提案公募(石油・天然ガス開発・利用促進型)大型研究として、以下の4件を実施しています。
@ 水攻後の油田に対する原油薄膜流動を利用した増油効果に関わる実証研究」 (帝国石油(株)及び東京大学。平成15-16年度の2ヵ年)。
A 「枯渇型油ガス田および微生物を利用した天然ガス鉱床再生に関する研究」 (帝国石油(株)及び中外テクノス(株)。平成16-17年度の2ヵ年)
B 「レーザ掘削・フラクチャリングシステムの開発」 (日本海洋掘削(株)、東北大学他。平成16〜17年度の2ヵ年)
C 「中・小ガス田/油田随伴ガス向け環境対応高効率井戸元発電システム」
((株)日立製作所、日揮(株)、アラビア石油(株)、豊橋技術科学大学。平成17〜18年度の2ヵ年)
また提案公募特別研究としては以下を実施しています。
「AE法による天然ガス貯留層におけるフラクチャー計測」 (石油資源開発(株)。平成16〜17年度の2ヵ年) |
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